PICK UP ACTRESS 木竜麻生

PICK UP ACTRESS 木竜麻生

PHOTO=小澤太一 INTERVIEW=斉藤貴志

 
 

「まどろみバーメイド」で連ドラ単独初主演
修業を積んで天才バーテンダー役に挑戦

 
 
――「まどろみバーメイド~屋台バーで最高の一杯を。~」で屋台バーの店主の天才バーテンダー・月川雪(つきかわ・ゆき)を演じていますが、木竜さんはお酒は飲むんですか?

「好きですけど強くはなくて、量はそれほど飲めません。居酒屋さんだとレモンサワーばかりで、カクテルはあまり飲んだことがなかったんですけど、夏のモヒートは好きです。今回のドラマでモヒートを作る場面があって、雪ちゃんが『文豪ヘミングウェイも愛した』と説明してました。そういうふうにカクテルのルーツや名前の由来に触れたりもするので、私も台本を読みながら学んでいるところです」。

――居酒屋には行くんですね。

「大学時代の友だちと飲みに行くときは、入りやすい居酒屋さんが多いですね。父や兄がお酒を好きなので、実家に帰ると、みんなで晩酌をしたり、一緒に近くのお店に行きます」。

――クランクイン前に、有名な石垣忍さんのバー「石の華」でバーテンダー修業をしたとか。

「石垣さんの所作はそつがなくて軽やかですけど、やってみると、ボトルを取る、リキュールを注ぐ……というひとつひとつの動作が難しくて……」。

――特に難関だったことは?

「私はリキュールを注ぐ手とか、細かいボトルアクションが気になりました。あとは屋台バーでお客さまの前で横を向いてシェイカーを振るときに、『なるべく体の揺れがわからないようにしてほしい』と監督に言われて、石垣さんに『重心を下に落として体がブレないようにする』と教わりました」。

――やっぱり見え方は大事でしょうね。

「シェイクは2段振りと1段振りがあって、よくイメージするのはシャカシャカ上下にする2段振りですけど、雪ちゃんは1段振り。どうしたら流れるようにカッコよく見えるかを、練習で意識しました」。


――日常生活でも、バーテンダーの役作りでやっていたことはありますか?

「一流のバーテンダーの方は腰が痛くなることがないそうです。それは、膝の力を緩めて脚を肩幅くらいに広げて、お腹の下の丹田を意識して重心を下に持ってきているからと聞いて、電車ではそういう態勢を心掛けました。あと、ペットボトルとかもいきなり右手でつかむのではなく、ボトルアクションのように左手で取って右手に持ち替えて蓋を開けるようにして、動きのクセを付けました」。

――石の華以外のバーにも行ってみたりは?

「してないです。雪ちゃんは屋台バーをやっているので、ホテルとかのバーの感じは『覚えなくていい』と言われました。それに、私は頭でっかちになりやすいので(笑)。雪ちゃんは力は抜けていて真剣な子だから、とにかく教えていただいた石の華の石垣さんと女性バーテンダーさんの動画と、言われたことを意識するようにしました」。

――「菊とギロチン」で相撲に取り組んだときとは、また違う大変さでした?

「バーテンダーの基本の動作みたいなことは、意外と体で覚える感覚が強いんです。もちろん相撲とは使う体力の差はありましたけど、どちらも自分で体感しながらやるのは変わらなくて、似ているところがある気がしました」。


――会見では共演の玄理さんたちが木竜さんについて「ポヤッとして素朴なところが雪ちゃんのまんま」と話してました。

「自分ではそんなにとぼけている気は全然ないですけど(笑)、演じている中でスタッフさんからも『近いところがある』と言っていただけたので、そうなのかもしれません。変なところで真面目なのは似てると思います。他の人は気にしてなくても、自分はすごく気になることが、カクテルを教えていただいたときにもありました」。

――たとえば、どんなことですか?

「カクテルを出すときに、『お客さんの目の前に直接置くのがいいのか、自分の手前に置いてからスッと前に出すのがいいのか』が気になって細かく聞きました。日常だと、前を歩いている人のリュックが開いてると、大事な物が落ちたりしないか気になって、『開いてますよ』と声を掛けます(笑)」。

――親切ですね。

「自分が誰かと一緒にいたら、一応『言ってもいいと思う?』と聞きます。自分がわりと開いてることが多くて、教えてもらうとありがたいので」。



――雪は夜ふかしが苦手で、すぐ眠くなってますが、木竜さんはその辺は?

「そこは私も一緒ですね(笑)。雪ちゃんは仕事柄、朝方に帰ってきて昼間はずーっと寝てますけど、私は早く寝て早く起きたいタイプで、夜は長く起きていられません。やることがなくて、見たい映画や本が終わったら、11時にはいつでも布団に入れる状態にします。その前にお風呂に入ったり、いろいろなことを全部済ませておきます」。

――眠気に勝てず……というときもあります?

「友だちや家族といるときは気が抜けているので、それこそお酒を飲んだら、わりとすぐウトウトしちゃいます。気を使わない友だちと一緒だと、目の前でゴロゴロしながら寝ちゃったりもします(笑)」。

――「まどろみマーメイド」は「深夜の連続ドラマ」枠ですが(笑)。

「もちろん、起きて観ます(笑)!」。

 
 

初めてドラマに長く関わって
集中力や体力を磨かなければと実感しました

 
 
――木竜さんは昨年公開の「菊とギロチン」や「鈴木家の嘘」で多くの映画祭の新人女優賞を受賞しました。今回は連ドラ単独初主演で、撮影ペースは映画より速いと思いますが、戸惑いはありませんでした?

「ドラマにこんなに長い期間関わることが初めてで、撮る分量や順番に戸惑うことはもちろんありました。自分の集中力や体力をもっと磨かなきゃいけないと、現場で実感しています。最初の何話かをやって、雪ちゃんが人と交流して心の動きがあった後のシーンで、お客さんとどんな距離感で接したらいいかも迷いました。自分に見えていたり感じる部分は監督にお話しつつ、1話から12話までの流れの中での変化を見ていただいているように感じたので、『そこはもうちょっと踏み込んで』とか『もう少し砕けて』といったご指導に、なるべく応えようと思いました」。

――なるほど。ドラマだと12話の中での流れも考えるわけですね。

「はい。毎話お客さんが屋台に来て、いろいろなことが起きて、普通の人が生活していて心が波打つように、雪ちゃんの中でも思うことや感じることの波があるので、急に『あれ?』とならないようにしたかったんです。私はこういうふうにドラマに入ったのが初めてで、きっと見えてない部分が多いので、通して見ている監督たちに助けていただきながら、ちゃんとバラバラではない流れに見えたらと思いました」。

――木竜さんって本当に真面目で真摯ですよね。ちなみに、ドラマは自分では観てました?

「そんなにたくさんは観ていません。でも、小さい頃や学生時代に母と観ていたドラマをもう一度観てみようと、DVDを借りたりしています。宮藤官九郎さんの脚本の作品は父母が好きで、自分でDVDボックスを持っています」。

――「あまちゃん」とか?

「そうですね。もっと昔のだと『IWGP(池袋ウエストゲートパーク)』とか。小学生の頃のドラマを改めて観ると、『あーっ!』と思うような発見があります」。


――「まどろみバーメイド」の序盤では、どんなシーンが印象に残ってますか?

「カクテルを作るシーンはすごく緊張しました。2話でトム・アンド・ジェリーという卵を使うカクテルが出てきて、お鍋を出して、卵を白身と黄身に分けて、料理のように作るんです。そこは手順が多いのをこなしながら、お客さまとの掛け合いもちゃんとやりたかったので、探り探りで何回もやらせていただいて印象に残ってます」。

――このドラマの放送スタートを前に、木竜さんは25歳の誕生日を迎えました。節目感はありますか?

「どうなんでしょう? 25歳になって思うのは、四捨五入の概念は捨てよう(笑)。でも、自分より少し年齢が下の方とお仕事することが多くなって、“大人の女性”までは行ってなくても、もうそれほど若くないところに爪先を入れ始めた感じはします。私はわりと童顔だし、まだ年相応の雰囲気が出ているとは思えませんけど(笑)、そういうものを仕事や私生活の経験から、ちょっとずつ出していければ。それが作品の中でも活かせたらいいなと、25歳にして思っています」。

――とりあえず、この夏はどう過ごしますか?

「暑いのを我慢するのは得意ではないですけど、夏という季節自体は好きです。今回の現場は涼しい時期から暑い時期に差し掛かるところで皆さんと一緒にやってきたので、誰も体調を崩すことなく、走り抜けられたらいいなと思います」。

――プライベートではしたいことはありますか?

「ここ2~3年、浴衣を着てないんです。高校生や大学生の頃は、実家に帰ると母がシュシュッと着せてくれたんですけど、そういう夏らしいことをしたいです」。


――浴衣でお祭りに行ったり?

「花火が見られたらうれしいんですけど、どうなんですかね? あと、お墓参りに行きたいです。きちんと挨拶して、『今年の残りもちゃんとやれますように』とお願いしてきたいです」。

――映えるナイトプールに行ったりはしないんですか?

「そんなハイカラなことは、ちょっとできないかもしれません。私には線香花火くらいがちょうどいい気がします(笑)」。
 
 


 
 

木竜麻生(きりゅう・まい)

生年月日:1994年7月1日(25歳)
出身地:新潟県
血液型:A型
 
【CHECK IT】
中学2年のときに原宿でスカウトされ、2014年に映画「まほろ駅前狂騒曲」で女優デビュー。2018年公開の映画「菊とギロチン」と「鈴木家の嘘」で毎日映画コンクールスポニチグランプリ新人賞、キネマ旬報ベスト・テン新人女優賞などを受賞。ドラマ「まどろみバーメイド~屋台バーで最高の一杯を。~」(テレビ大阪/土曜24:56~、BSテレ東/土曜24:00~)で主演。映画「東京喰種トーキョーグール【S】」が公開中。写真集「Mai」(リトルモア)が発売中。
 
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「まどろみバーメイド~屋台バーで最高の一杯を。~」

詳しい情報は「まどろみバーメイド~屋台バーで最高の一杯を。~」公式サイトへ
 
 

 

 

©ドラマ「まどろみバーメイド」製作委員会