FRESH ACTRESS 吉柳咲良
PHOTO=名児耶洋 HAIR&MAKE=真知子(エムドルフィン)
STYLING=徳永貴士 INTERVIEW=斉藤貴志
衣装協力/トゥービー バイ アニエスベー(アニエスベー)03-6229-5800
ホリプロTSCの最年少グランプリから
ミュージカルで10代目ピーターパンに
――去年のホリプロタレントスカウトキャラバンで史上最年少の12歳でグランプリになった咲良さんですが、小学生時代まで過ごした栃木の地元はどんなところですか?
「本当に田舎で全然何もないようなところでした。でも人が温かいというか、親切な方が多いです。お母さんが仕事で忙しいときに、保育園の先生が休みの日でも自宅で私を預かってくれたり、小さい頃から本当に周りの方にお世話になってました」。
――地域のつながりが強いんですね。
「すごく仲が良いです。私のおばあちゃんちの隣りの家に畑があって、よくおいしい野菜をおすそ分けに来てくれたりもしました。その畑のおばちゃんに『どんな野菜が好きなの?』と聞かれて『セロリが大好きです』と言ったら、次の日にセロリの種を持ってきてくれて『育ててみる?』と言われました。自分で育てたセロリを食べたときは、この世で一番おいしいもののように思いました(笑)」。
――小学生でセロリみたいな野菜が好きなのは珍しくないですか?
「私はセロリが一番好きです。小さい頃はピーマンが苦手でしたけど、ピーマンの肉詰めを食べてから好きになって、今はセロリ、トマト、ピーマンがベスト3みたいな感じです。あと、キャベツもいつも食べます。学校から帰ってくるとお腹がすいちゃって、お菓子を食べると太るので、キャベツをひと玉、千切りにしてもらって、青じそドレッシングをドッとかけて、1人でずーっと食べていました(笑)」。
――学校では目立つ子だったんですか?
「学校で目立つのは運動神経が良い子やモテる子で、私は運動神経は良くないしモテもしなかったけど(笑)、どのグループにも属してなくて、でも、どのグループの子ともしゃべるタイプでした」。
――小学生時代に何か熱中していたことはあります?
「ドラマを観ることです。もうずーっと観てました。学校から帰ってきたら、前の夜に録画したのを観たりしてました」。
――やっぱり小学生だと、夜は早めに寝て?
「はい。早く寝ないと背が伸びないと思っていたので(笑)。9時からのドラマは放送のときに観て、10時からのは一番好きなのだけ観て、他は録画してました」。
――女優を本格的に目指したきっかけが「リッチマン、プアウーマン」だったそうですね。
「はい。石原さとみさんと小栗旬さんの会話が道端で普通に話しているように自然で、カッコ良かったです。あと、韓国ドラマも好きで観てました」。
――お母さんの影響か何かで?
「いや、私が熱中してました。一番好きだったのは『トンイ』。朝8時15分からやっている韓国ドラマをよく観ています。『ドクター異邦人』とか『製パン王キム・タック』とか、全部ハマりましたね」。
――日本のドラマにはない魅力があります?
「俳優さんの演技も演出も全然違います。困っているシーンの表し方とか、泣いてるときにどんな表情をするとか、恋愛のシーンがどうなるとか……。新しい発見をして、日本のドラマと観比べてました」。
――小学生で韓国ドラマを観て、しかも演出まで気にしていたとは(笑)。
「ハハハ(笑)。そうやって観てました」。
――そして、ミュージカル「ピーターパン」の10代目ピーターパンに抜擢されましたが、過去の舞台は観ましたか?
「資料用DVDで観させていただいて、すごく感動しました。カッコイイだけではなく、歌とかきれいなんですよ! 1幕でダーリング邸でウェンディと出会って、2幕でネバーランドを冒険するんですけど、最後の3幕はウェンディが大人になっていて、ピーターパンが『大人にならないって約束したのに』となるシーンは切なかったです。そのピーターパンを私がやれるのは光栄で、すごくうれしくなって、『本当に頑張ろう』と思いました」。
――他のミュージカルを生で観たことは?
「結構観させていただきました。ウェンディ役の神田沙也加さんの『キューティ・ブロンド』はすごく面白くて、途中で立って拍手したくなっちゃったんです。いろいろな感情表現もすごくて、歌も本当に上手で、さすがミュージカル界の大スターだと思いました。そんなすごい方と同じ舞台に立つのは、最初プレッシャーを強く感じたんですけど、神田さんと一緒に大阪でのプロモーションに行ったら、本当にやさしくて頼り甲斐のあるお姉さんという感じの方でした。頼りつつ、自分も迷惑を掛けないように頑張っていきたいです」。
楽しみに来てくれるお客さんのために
すべてを完璧に仕上げて舞台に立ちます
――ピーターパンは短い髪のウィッグをかぶって演じますが、実際にここまで短くしたことはありました?
「一切なかったです。髪はずっと伸ばし続けていて、毛先が痛んだら、ちょっと切るくらい。こんなショートにしたことはなくて、『弟に似てる』と言われました。認めたくないけど(笑)、私も鏡を見て、ちょっと似てると思いました」。
――まず歌の練習から始めたそうですが、もともと得意なんですよね?
「歌は好きです。カラオケも大好きで、一度ひとりカラオケに行きたいと思ってます」。
――中1だと、ひとカラは敷居が高い感じ?
「勇気が要ります。でも、ずっと1人で歌っていたいんですよね(笑)」。
――カラオケではどんな曲を歌うんですか?
「椎名林檎さんです! お母さんの影響ですけど、友だちとは全然世代が合わなくて、何を歌っても『知らない』と言われます(笑)。唯一、『リッチマン、プアウーマン』の主題歌だったmiwaさんの『ヒカリへ』を歌うと『知ってる』となるので、私の一番の定番になってます」。
――小学生のときに林檎さんのどの辺の曲を?
「『丸の内サディスティック』がすごく好きです。友だちと結構大人数でカラオケに行ったときに歌ったら、みんながハマって、『あれ歌って』とよく言われるようになりました」。
――「ピーターパン」の曲は?
「音程を取るのが難しいところがあって、気を付けて歌っています。ミュージカルということもあって、場面によって歌い方が違ってきたりもします」。
――咲良さんはピーターパンみたいに「大人になりたくない」とは思います?
「半々です。期末テストが近づくと『早く大人になりたい』と思います。『もうテストなんてやりたくない!』みたいな(笑)。でも、大人の人の難しそうなやり取りを見てしまうと『子どものままでいたいな』と思うので、どっちもありますね」。
――今は子どもの楽しさを満喫しているところかと。
「はい。学校はやっぱりすごく楽しいです。テストがなければ(笑)。宿題も中学生になって多くなりましたけど、それを学校で『どう解いた?』とか聞いて、最初は仲良くなかった子と仲良くなったりもします。学校にいると『子どものままがいいな』と思います」。
――休みの日はせっかく上京したということで、やっぱり原宿に行ったりも?
「私、そこまで東京に慣れてないので(笑)、そういうところには全然行ってません。近場で遊んでます」。
――「ピーターパン」の本番までに特に強化したいことはありますか?
「体力です。本当に体力がないので、踊りと歌を一緒にやるのはすごくキツイから、毎日走ろうかと思います。あと、フライングは高いところが好きなので楽しみですけど、空中で動くのには腹筋が必要だから鍛えてます。私、背筋は人一倍あるのに、腹筋は人一倍ないと言われたので(笑)。音楽をかけながら1日30回。もうちょっと行けると思ったら、音楽が終わるまでやります」。
――夏場の公演になりますが、暑さも乗り切れそうですか?
「暑いのは苦手ではあるんですけど、体調管理はしっかりしたいです。お客さんも暑いなかで観に来てくださるので、『いい舞台だったな』と思って帰ってもらいたいです。本番までに体力も付けて、歌もお芝居もフライングも全部完璧に仕上げてから、ちゃんと舞台に立てたらと思います」。
――意識が高いですね。普通に夏のお楽しみはありますか?
「地元ではお祭りによく行ってました。かき氷が好きで、もともとブルーハワイ派だったのが、いつの間にかいちご味が一番になって、今年も早く食べたいです。東京のお祭りはどういうものかは、全然知りませんけど……」。
――お祭りには浴衣を着て行ってたり?
「浴衣は着たことがなくて、ハッピみたいなのを着てました。背中に金色で“咲良”と入ったのを作ってもらって(笑)」。
――カッコイイですね(笑)。
「黒いハッピだったんですけど、その次の年はすごい花柄になって、バラとかめっちゃ付いている華やかなのになりました。今年は浴衣を着たいですね」。
――最後に、咲良さんと話していると、とても13歳とは思えない大人っぽさを感じますが、どんな育ち方をしてきたんですか?
「全然大人ではないですけど、お母さんが仕事をしているとき、お客さんと話しているのを近くで見ていたので、言葉づかいは自然に覚えました。お母さんは小さい頃から一番尊敬してます。意見がハッキリしていて、ウソは言わない。間違ったことを許さないんです。その性格にずっと憧れてました」。
――友だちと話すときは、トーンもまた違うんですか?
「そうですね。もっと低いトーンになります(笑)。そんなに高い声は出ないし、キャピキャピしてないです。『~だよねぇ!』みたいに言われても『へーっ……』って感じ(笑)。でもピーターパンは10歳くらいなので、頑張ってトーンを上げていきます!」。
吉柳咲良(きりゅう・さくら)
生年月日:2004年4月22日(13歳)
出身地:栃木県
血液型:B型
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2016年の「第41回ホリプロタレントスカウトキャラバン」で史上最年少の12歳でグランプリを獲得。ブロードウェイミュージカル「ピーターパン」で、初代の榊原郁恵から笹本玲奈、宮地真緒、高畑充希、唯月ふうからが務めてきたピーターパン役の10代目に抜擢される。
詳しい情報は公式HPへ
ブロードウェイミュージカル「ピーターパン」
7月24日(月)~8月3日(木)東京国際フォーラム ホールC
8月5日(土)・6日(日)静岡市清水文化会館(マリナート) 大ホール
8月12日(土)・13日(日)梅田芸術劇場 メインホール