PICK UP ACTRESS 喜多乃愛
PHOTO=河野英喜 INTERVIEW=斉藤貴志
「僕とシッポと神楽坂」で病気の犬の飼い主
「ハラスメントゲーム」で主人公の娘を演じる
――JK最後の夏は充実していたようですね。
「そうですね。JKらしいことというより、舞台とかお仕事の思い出ができました。あとは、家族旅行にも行けました」。
――高3になっても家族で旅行に行くんですね。
「何年かぶりでした。小さい頃は毎年行ってましたけど、最近ちょっと忙しかったので。今回は何とか房総半島に行けました」。
――千葉ですか。
「私がギリギリまで行けるかわからなくて、お仕事終わりでも行けるところで……ということで房総にしてもらったんです」。
――それで10月クールでは「僕とシッポと神楽坂」に「ハラスメントゲーム」と、連ドラ2本に出演。掛け持ちはちょっと大変ですか?
「いえ、撮影の時期はズレていたので。先に『シッポ』の2話から出演させていただく回をほぼ撮り終えて、『ハラスメントゲーム』の撮影はその頃から始まりました」。
――「シッポ」は獣医師のコオ先生(相羽雅紀)が主人公で、乃愛さんが演じるのは大沢香子という、骨肉腫の犬を飼っている高校生の女の子。
「“かこ”と読むんです。『あなそれ(あなたのことはそれほど)』では同じ字で“きょうこ”でした。『花晴れ(花のち晴れ~花男 Next Season~)』では“京子”と書く“きょうこ”で、微妙につながりがあります(笑)」。
――乃愛さんはペットを飼っているんですか?
「飼ったことがないんです。香子はずっと犬と暮らしてきた女の子で、ペットはどういう存在なのか、妹と重ね合わせたりして結構考えました」。
――犬と接する演技で戸惑うことはありませんでした?
「犬をしつけるシーンがあって、『ダウンと伏せは何が違うの?』とか『ツイテって何だろう?』とか、言葉自体がわからなかったし、どんな素振りでやるのか未知すぎたので、そこは学びました。でも現場にずっと犬がいて、犬を見たら現場を思い出すくらいだったので、触れ合うのに慣れてきました」。
――もともと犬が苦手ということはなく?
「犬はとても好きです。癒されるし、飼いたいんですけど、親がアレルギーなので飼えないんです」。
――だったら、とっつきやすくはあったんでしょうね?
「そうですね。本番以外でもなるべく犬の近くにいて、ごはんをあげたりしてました。ワンちゃんも最初はビックリしてましたけど、だんだん慣れてきて私を覚えてくれて、怖がらずに抱っこさせてくれました」。
――オールアップのときは寂しくなったり?
「そうですね。でも、それは犬だけではなく、スタッフさんも共演者さんも良い方ばかりで、温かい現場だったからです。一緒にもの作りをしてきたのが終わるのが、やっぱり寂しいです」。
――香子はお嬢様なんですよね。
「お嬢様育ちで、お手伝いさんや運転手さんがいたりします。『花晴れ』の京子とは違ったタイプのお嬢様です」。
――香子の印象は?
「常識外れというよりは上品な感じで、おっとりしていて、おとなしいですね。私、お嬢様系の役が多いんです」。
――乃愛さん自身もお嬢様だから?
「いやー、それはないですけど(笑)」。
――お嬢様をうらやましく思いますか?
「ああ……。やっぱりうらやましいですね。『花晴れ』のとき、リムジンに乗って、すごくワクワクしたので(笑)。リムジンまではいかなくても、車でお迎えに来てくれるのはいいなーと思います。電車に乗らなくていいのは、すごく便利ですよね」。
――上品なお嬢様を演じる上で、気を配ったことは?
「常に姿勢を良くしたり、手をつくのもドーンとやらないで指先だけついたりして、お嬢様の雰囲気を出しました」。
――性格やキャラクター的にはどんな子ですか?
「外で元気に遊ぶというよりは、おうちで犬と静かに過ごしている女の子です。演じているうちに、香子ちゃんの話し方とかも見えてきました」。
――やっぱりゆったり話す感じ?
「ゆったりしてますが、そもそも口数が少なくて、自分の意見があっても、あまり言わない子なんです。台本でも『…………』が多くて、読んでいて香子の台詞があったと思ったら、ほとんど『…………』で、1シーンで全然しゃべらなかったこともありました(笑)」。
――表情の演技が必要だったわけですね。
「そうです。でも、コオ先生や周りの人たちとの出会いと神楽坂の温かい雰囲気によって、香子が少しずつしゃべるようになったり、自分から物事を進められるようになったり、成長していくのも見どころだと思います」。
――神楽坂には馴染みはあったんですか?
「家族の誕生日に行くレストランが神楽坂にあるんですけど、それ以外ではあまり行く機会はありませんでした。撮影で行ったら、思っていた以上に落ち着いていて素敵な場所だったので、今度プライベートでも行ってみたいです」。
――石畳の路地裏とか、風情がありますよね。
「ちょっと角を曲がってみると、雰囲気のある道になっていました。撮影でおいしそうな肉まん屋さんに入ったんですが、食べられなかったので、また絶対に行こうと思います(笑)」。
お父さんを下に見ている娘の役は
現場で笑いが起きて楽しいです
――「目に涙が溢れる」というシーンもあったそうですが、そういうときはいろいろと想像して気持ちを作ったような?
「すごく悲しいことに直面したときのことを考えると自然に……って感じでしたね。1人で想像するより、現場で実際にリハーサルをやっていくうちに、涙が出てきました」。
――涙が溢れなくて困ることはなく?
「それも多少ありました。日によってコンディションが違うので、『あれ? 私、今泣いてる?』というくらい自然に涙が出てくる日もあれば、感情は動いても、涙が出てこない日もあります。次の作品とかでまたそういうシーンがあったときに困らないように、お芝居の勉強をもっと頑張ろうと思いました」。
――普段は泣くことはありますか?
「まったく泣かないんですよ。映画などを観ていて感動して泣くことはあっても、日常生活で泣くことはまずありません」。
――強い子だから?
「強いというより、辛いときに涙が出ないタイプで、しんどいときはひたすら黙ります。追い込まれても泣く方向には行きません。小さい頃、(幼稚園の)年少まではすぐ泣いていたんですよ。でも、妹ができて『お姉ちゃんだから』と我慢していたら、どんどん泣かなくなりました」。
――一方、「ハラスメントゲーム」では主人公で大手スーパー社員の秋津渉(唐沢寿明)の娘の菜摘役。こちらはイマドキの明るい女の子なんですね。
「イマドキですね。携帯をずっといじっていたりして、すごくJKって感じです。お父さんの立場が下の家って、あるじゃないですか。まさにそういう家族で、菜摘とお母さんが強いんです。菜摘はお父さんが大好きだけど、お母さんを怒らせると怖いから、お母さん側に付くんです。だから女性のほうが強い。私の家もそんな感じです(笑)」。
――お母さんがお父さんに「あれやって」とか?
「それもありますし、私と妹が『迎えに来て』だの何だの、パシらせてる感じです(笑)。だから役作りをしていても、自分のことを振り返って『あっ、こんな感じか』みたいにやることも多いです」。
――劇中の菜摘はお父さんとどう接しているんですか?
「もう完全にお父さんを下に見てますね(笑)。荷物を持たせたり、お父さんが落ち込んでいる感じのときに『気にするなよ』って、偉そうに肩をポンポン叩いたりしてます」。
――でも、そんなお父さんを演じているのが、事務所の大先輩でもある唐沢寿明さん。
「そうなんですよ! なので、現場では緊張で背筋がピーンとなります」。
――唐沢さんの出演ドラマを観ていたりもしました?
「結構観てました。最近だと(テレビ東京開局55周年特別企画)ドラマスペシャル『あまんじゃく』がすっごく面白かったし、窪田(正孝)さんとやってらした『ラストコップ』も観てました」。
――初対面のときのことは覚えてますか?
「はい。顔合わせのときでしたがとても緊張して、いつ挨拶に行こうか、ずっと見ていました。オーラがあって、すごくカッコ良かったです。本当に大先輩という感じでしたけど、私にもしっかり挨拶してくれました」。
――でも、カメラが回れば上の立場になって(笑)。
「役に入ってからはそうですね」。
――たぶん劇中では、秋津渉は会社でコンプライアンス室長としてハラスメント問題にシリアスに取り組んでいるので、家庭のシーンは箸休め的にのどかなんでしょうね。
「そんな感じです。家ではコミカルなシーンが多くて、よく陰でスタッフさんがクスクス笑っています。唐沢さんとはまだ、あまりお話してないんですけど、お母さん役の石野真子さんが明るい方で、話し掛けてくださるのでとても楽しいです」。
――ハラスメントとかコンプライアンスという言葉は知ってました?
「コンプライアンスは知ってましたけど、ハラスメントのことはこのドラマが決まってから、何ハラがあるのか調べてみました。そしたら、30種類以上あったんです。犬が好きじゃない人にペットを近づけたりするペットハラスメントとか、幅が広くてビックリしました」。
――乃愛さんはデビューしてから着実に仕事が増えてきましたが、学業との両立もできていますか?
「今は一番大変ですね。お仕事の現場は緊張感があっても楽しくて、終わったときは疲れてもワクワクしますけど、学校の課題も多いので、そこは切り替えています。レポートを書くために急いで読まなきゃいけない本が2冊あったりすると、夜寝る時間は遅くなりますね」。
――これからの時期、ハロウィンやクリスマスは盛り上がるんですか?
「今までハロウィンで仮装したことがないんですが、私はディズニーランドが好きだから、いつか仮装して行ってみたいです。でも、今はやることが多いので、今年叶うかは未定です」。
――ドラマの撮影が一段落したら、クリスマスにはディズニーランドに行くんですか?
「行かないです。寒いし(笑)、混んでると思うので。クリスマスシーズンは長いから、早めに行けたらと思ってます。クリスマス当日は毎年、家でパーティーをするか外に食べに行くか、必ず家族と過ごしてますね」。
――ラストJKとしてやっておきたいことはないですか?
「高校生のうちに、学割をたくさん使っておきたいです(笑)。映画を1000円のうちにたくさん観ておくとか、最近プールによく行くんですけど、それも高校生は安いので、なるべく行っておくとかしたいです」。
――映画をよく観ているんですか?
「オフの日は映画館に行くことが多いですね。『SUNNY 強い気持ち・強い愛』がとっても面白かったです。青春と言うんですか? でもキラキラしているだけじゃなくて、友情とかもあって、ああいう映画に出たいと、心から思いました」。
――それはきっと来年あたり、リアルでは高校を卒業してから叶いそうですね。
「私がいつまで制服が似合うかにもよりますけど(笑)、そうなるように頑張りたいです」。
喜多乃愛(きた・のあ)
生年月日:2000年5月18日(18歳)
出身地:埼玉県
血液型:A型
【CHECK IT】
中学3年のときに研音のオーディションに合格。2017年4月にドラマ「あなたのことはそれほど」(TBS系)で女優デビュー。ドラマ「花のち晴れ~花男Next Season~」(TBS系)、舞台「大きな虹のあとで~不動四兄弟~」などに出演。金曜ナイトドラマ「僕とシッポと神楽坂」(テレビ朝日系/金曜23:15~)に10月19日放送の2話から出演。ドラマBiz「ハラスメントゲーム」(テレビ東京系/月曜22:00~)に出演中。
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