PICK UP ACTRESS 森川葵

PICK UP ACTRESS 森川葵

PHOTO=小澤太一 INTERVIEW=斉藤貴志

 
 

「GIVER」で謎めいたヒロイン
復讐代行組織を創設した美少女役

 
 

――いつも森川さんの名前がキャストにあると「今回はどんな演技を見せてくれるんだろう?」とワクワクしますが、ドラマ「GIVER 復讐の贈与者」では復讐代行組織を創設したテイカー役の、イスに座った写真を見てゾワッとしました。

「あれはドラマの撮影初日に撮りました。1日で1話から5話までのシーンを一気に撮影したあと、同じ部屋での写真撮影だったので、何となく『テイカーはこういう感じかな?』と想像して、人形っぽく、謎めいて何か気になるようなところを出したつもりです」。

――テイカーは“謎の美少女”ということですが、演じるに当たって背景とかは把握していたんですよね?

「最初『謎って何だろう?』と思いましたけど(笑)、前もって設定みたいなものはいただきました」。

――女優さんとして「演じてみたい」とそそられる役でした?

「“謎の美少女”とだけ聞くと、『大丈夫かな? 私ではないほうがいいんじゃないかな?』という気持ちになりました(笑)。でも、主人公の義波役の吉沢(亮)さんと『リバーズ・エッジ』で共演したとき、心の中身が空っぽで詰まってないような役がすごく魅力的でした。今回の義波も感情が欠落した役と聞いて、小林(勇貴)監督とのタッグでやるのが面白そうだったので、自分の役のことより2人を近くで見たくて(笑)、ぜひやりたいと思いました」。


――小林監督の作品を観ていたんですか?

「はい。『全員死刑』を観て気になってました。吉沢さんは最近、『リバーズ・エッジ』は違いますけど、キラキラした役が多いイメージなので、小林さんと組んだらどうなるのか、すごく楽しみでした」。

――テイカー自体の演じ甲斐については?

「背景を知ってから、逆に難しく感じました。すごく出てくるわけではなく、言葉数も多くないのに、義波に指示を出して裏で操る重要な役で、観る方にすべてを見せない状態で最後のほうまで続けないといけないので。もちろん背景はありますけど、そういうのを初めから見せてしまったら、面白くないじゃないですか。初めは何も見えてこないほうがいいと思って演じていて、そこでドラマとしてバランスが難しいというか……」。

――映画とは違うところがあって?

「映画なら2時間で見えてくるものが、ドラマだと何週間もまたいで、やっと見えてきますよね。初めは『何を考えて、こういうことをしているのかわからない』と見せたいけど、あとで見返したら『そういうつもりだったのか』と見えてほしい気持ちもあって、それがすごく難しいです」。

――まだ試行錯誤している部分もあります?

「そうですね。テイカーは原作の小説とはちょっと違う設定になってますし、台本もまだ最後までできてないので、ドラマでテイカーがどうなるかは、まだわかりません。どう演じていくのがいいか、まだ探り中です」。

――会見でプロデューサーから、衣裳合わせのときに森川さんが「深いところまで考えて質問してきた」という話がありました。

「そんなに深いわけではないです。衣裳に関して最初に監督に言われたのが、『真っ暗な部屋で顔と上半身だけが光の中でポッと浮き出ている感じにしたい』ということだったんですね。それで衣裳合わせをしたら、上は今のもので、下はフワッと広がった甘い感じだったんです」。


――原作のテイカーは12歳くらいの少女ということもあったのかもしれませんね。

「でも、私が想像していたテイカーはもう少し落ち着いた大人のイメージで、フリフリはあってもスマートな感じでした。そういうお話をしたことを『深いところまで』と言っていただいたんだと思います。私がそう言ったら、みんなシーンとしちゃったので『間違えたかな?』と思って(笑)、逆に『それで大丈夫ですか?』と聞いちゃいました」。

――結局、森川さんの意見が採用されたわけですね。

「はい。『皆さんはこれで良かったのかな?』とも思いますけど」。

――1話からのテイカーのクールな表情や話し方は、自然に出たものですか?

「初めはやっぱり、あまり見せすぎないほうが面白いと思って、ああなりました。それに義波とか復讐する相手とか、激しかったり面白いキャラクターがいっぱいいるので、テイカーまでうるさいと大変なことになる気もしていたので、あまりいろいろしすぎないほうがいいかなと思いました」。


――作品について「各話の終わりにはスッキリした、『ような気がする……』」とのコメントを出されてました。

「1話は爆破がすごすぎたり、義波がナイフを取り返して勝った感じになったり、何となくスッキリしたような気持ちにはなるんです。でも、どこかスッキリしきらない。流し見したら『ああ面白かった』で終わるけど、じっくり見ると何かモヤモヤしたものが残って『果たしてどっちが正しかったんだろう?』という、そんな作品だなと思います」。

 
 

新しいことに取り組むドラマで
自分も挑戦できるのはうれしい

 
 
――1話では、テイカーが義波と復讐相手のやり取りを聞きながら「嫉妬……」「怒り……」などと感情を噛み締めるような場面もありました。その辺で森川さんは、テイカーの考えていることがわかる部分もありますか?

「やっぱりお芝居をしているので、人を見ながら『どういう気持ちなんだろう?』とか知りたいと思ったりはしますね」。

――森川さんは義波みたいに感情が欠落はしてないでしょうけど、たとえば怒りの感情は薄めで演じる際には壁があるとか、そういうのはありますか?

「ありますね。人に対して、あまり爆発的に怒る感情はないです。ちょっとプチッときたりはしますけど、それがウワーッと大きくなったりはしないので、そういう感情は自分の中で欠落しているのかもしれません」。


――怒らないのは、人間としては“できている”ということにもなるでしょうけど。

「でも、『もうちょっと自分の思ってることを言えたら』というときもあります。良い部分でもあるし、良くない部分でもあるのかな」。

――今の森川さんは取材でもいろいろ語ってくれますが、「A-studio」のアシスタントになったとき「4年くらい女優の仕事をしてきて、台詞ではない自分の言葉で話すのが怖くなった」という趣旨の発言をしていました。それも一種の欠落だったのかわかりませんけど、そこまで女優に打ち込んでいたのはすごいと思いました。

「打ち込んだというより、その環境に慣れていたんです。今もバラエティに出て『森川さんはどうですか?』と振られると、『えっ? なんて言ったらいいんだろう?』となって、自分の頭の中でグルグル言葉を探してワーッとなっちゃいます。台詞があったほうがいいです」。

――そうですか? 「バカボンのパパよりバカなパパ」の番宣で「土曜スタジオパーク」に出演したときは、軽妙なトークを繰り広げてましたが……。

「いやいやいや。生放送だし、お客さんもいたし、『失敗しちゃいけない』となって……。ああいうのは苦手です」。


――「GIVER」の会見では、吉沢さんたちから「挑戦的な作品」という言葉が出てました。テイカー役にも挑戦的なところはありますか?

「義波とテイカーが2人だけになると、ちょっと人間的ではないというか、不思議な空気になるんです。それで2人が会話するのか考えたら、話さないだろうと思いました。でも、台本では2人のやり取りがあるんです。『義波と2人きりでどう話したらいいんだろう?』というのが、小さい挑戦でした」。

――27歳で破天荒キャラの小林監督の演出はどうですか?

「私の行った現場では、小林節があまり出なかったんですよ(笑)。会見で生き生きとしている小林監督の姿を見て、そういう勢いの日の撮影に参加したいと思いました」。

――今まで撮った中では、どんなシーンが特に印象に残ってます?

「義波のメガネにテイカーが映るシーンですね。真っ赤な照明で、部屋にいるのに変な方向を向いて『カメラ目線で』と言われました。しかも段取りもテストもなしで、いきなり『はい本番。ヨーイ、スタート!』という流れだったので、どう使われるのか、合成されるのかも全然わからなかったんです。カメラ目線で台詞を言うのも不思議な感覚なので、『お芝居なのか何なのか』という感じがして、真っ赤な照明の中で『自分は何をしているんだろう?』となりました」。

――ちなみに、「GIVER」がオンエアされる金曜の深夜24時すぎは、何をしていることが多いですか?

「あまり曜日を気にして行動することはなくて……。たぶんまだ寝てなくて、お風呂に入ったりしてますかね?」。

――この「ドラマ24」枠の作品を観たことはあります?

「『バイプレイヤーズ』は観てました。『面白そう』と思って観たら、1話からおじさまたちがすごくかわいくて(笑)、ハマっちゃいました」。


――実験的、挑戦的な作品が多い枠ですが、出てみたい気持ちもありました?

「出てみたいというか、出られてうれしい枠です。普通のことをするだけではなく、前向きにどんどん新しいことに取り組む印象があるので、そこに入れてもらって自分もチャレンジに参加できるのはうれしいし、力になりたいです」。

――あと、「GIVER」の会見では「代行してもらいたいこと」という質問に「髪の毛を乾かすのを誰かにやってもらいたい」と答えてました。

「髪が長いので、とにかく時間がかかるんです。乾かしても乾かしても、毛先がなかなか乾かなくて、ずーっと台本を読みながら、ボーッとドライヤーをかけたりしています」。

――森川さんは髪の長さがいろいろ変わっていた時期もありましたが、最近はロングが定着したようですね。

「もう2年くらい伸ばしていて、ずーっとこの髪型ですね。色を変えたりは多少しましたけど」。

――長いのが自分でも一番しっくりきたんですか?

「伸ばしたことがなかったからやってますけど、もうそろそろ切ると思います(笑)」。


――最後に定番で、森川さんにとって夏のお楽しみというと?

「果物のナシです。すごく好きで、夏になるとナシだけ食べすぎちゃうんです。1日1コとか食べていて、1週間連続で食べても飽きません。イチゴでもスイカでもメロンでも『1週間、毎日これだけしか食べられない』となったら厳しいですけど、ナシだけは毎日でもうれしいですね(笑)」。
 
 


 
 

森川葵(もりかわ・あおい)

生年月日:1995年6月17日(23歳)
出身地:愛知県
 
【CHECK IT】
2010年に「Seventeen」(集英社)の専属モデルとしてデビュー。2012年に女優デビュー。主な出演作は映画「渇き。」、「おんなのこきらい」、「TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ」、「恋と嘘」、「リバーズ・エッジ」、「OVER DRIVE」、ドラマ「ごめんね青春!」(TBS系)、「いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう」(フジテレビ系)、「賭ケグルイ」(MBS・TBS)、「明日の君がもっと好き」(テレビ朝日系)など。ドラマ「GIVER 復讐の贈与者」(テレビ東京系/金曜24:12~ ほか)に出演中。11月20日(火)~12月16日(日)に本多劇場で上演される舞台「ロミオとジュリエット」(東京公演後、地方公演あり)に出演。2019年公開予定の映画「耳を腐らせるほどの愛」に出演。
詳しい情報は公式HPへ
 
 

ドラマ24「GIVER 復讐の贈与者」

詳しい情報は公式HPへ
 

 

 
 

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