PICK UP ACTRESS 平祐奈
PHOTO=小澤太一 HAIR&MAKE=池上豪(NICOLASHKA)
STYLING=川上舞乃 INTERVIEW=斉藤貴志
「未成年だけどコドモじゃない」で
16歳で結婚する世間知らずのお嬢様役
――山本舞香さんが「未成年だけどコドモじゃない」の折山香琳役について「祐奈にすごく合っていた」と話してました。
「うれしいです。自分では合っているかはわかりませんけど、テンションが高くてポジティブなところは共感できました」。
――香琳はお嬢様暮らしからいきなり貧乏生活になっても、結婚した鶴木尚(中島健人)に見直してもらうと一生懸命家事を覚えていましたが、ああいうポジティブさが祐奈さんにもあると?
「そうですね。落ち込むことはなくて、いつもポジティブに過ごしています。最近はマンガが原作の作品をやらせていただくことが多いんですけど、今回の香琳ちゃんはそういう共感できる部分もあったので、役作りというものをあまりしないで、ラフな気持ちでできました」。
――前半はいわゆるマンガっぽいシーンが多くありましたが……。
「とにかくブッ飛んでいる女の子なので、『テンションをどこまで上げたらいいかな?』というのは考えたんですけど、監督に『マンガのことは気にしなくていいから、やり切れるところまでやってください』と言われました。だから常に全力でやっていました」。
――そういうお芝居は演じる側も楽しいものですか?
「楽しかったです。『香琳としてなら何を言ってもいい。香琳は何をしても怖くない』と気づいて、アドリブも多くなりました。思いついたことは何でも咄嗟に言って、結構使われていました」。
――完成した映画で、どの辺がアドリブだったんですか?
「尚先輩と勉強しているシーンで、本番中に中島さんの顔に蚊が止まっていたんですよ。『でも、カメラが回っているしな……』と思いながら、普通に『蚊がついてるよ』とか言ったら、まさかのそこが使われていました(笑)。監督のセンスもひっくるめて面白かったです」。
――英勉監督は、ご自身が現場でよく笑ってらっしゃるそうですね。
「ずーっと笑ってました(笑)。本当にパワフル。朝から笑い声がモニター前から聞こえてきて、笑顔溢れる現場でしたね」。
――香琳の顔にサッカーボールが当たって、空中で1回転するシーンは、実際どう撮ったんですか?
「あれは全部そのままやってます。ワイヤーを体に付けてグリーンバックで、本当に私があの形で吹っ飛ばされたんです。ワイヤーアクションができて、ひとつのアトラクション感覚で楽しかったです」。
――“おばけ”と言っていた大家さんがヌッと現れるたびに叫び声を上げてましたが、日常ではあんな大声で叫ぶことはないですよね?
「あそこはリアルにビックリしてます(笑)。私は人に『ワッ!』とかやられたら『うわーっ!!』と叫んじゃうほうなんです。この現場でも、本番中に後ろの水道栓がボンと落ちて『ワーッ!!』とビックリしたり……。なので、あの辺のシーンはリアリティが出たと思います」。
――香琳のお嬢様らしさを出すことも考えました?
「世間知らずのお嬢様だから、所作をカッコ悪くは見せたくなかったので、動きがだらしなくならないように気をつけていました」。
――「よくってよ」みたいな言葉は使ったことはありました?
「それは言いませんけど、『ごきげんよう』は小学校のときに言ってました。女子校だったので、身近な言葉でした」。
――冒頭で香琳はベッドで寝ぼけている間に、執事やメイドが総がかりでメイクやら着替えやら何もかもやってあげてました。
「私はずーっと寝ていただけですけど、みんなにリフトされて食卓まで連れていかれるところは、ワイヤーで吊るされていたんです。意外と自分の力を使っていて、背筋から首にかけて筋肉痛になりました。あそこまでされているのに『香琳はなんで起きないの?』って感じですけど(笑)、本当にお嬢様はすごいなと思いました」。
掃除も洗濯も自分でやる
意識が芽生えてきました
――祐奈さんも香琳のように、結婚に対する夢はありますか?
「まだ『こんな感じで式をやりたい』とかは想像つきませんけど、私はどちらかというと白無垢を着て、神社で式を挙げたいです」。
――神社、好きなんですよね。理想のプロポーズは?
「それも古風な感じがいいです。和な空間でされたらいいかな。でも、プロポーズは何でもうれしいんじゃないですか?」。
――香琳は尚との結婚を「金目当てと顔目当てでいい感じ」とも言ってましたが、結婚には顔も大事でしょうか?
「私はどちらかというと中身を重視したいと思っています。でも、誰だったか、『顔が気にならないと中身も気にならない』と言ってる人がいて、『それもそうかな』と思いました。どこから入るかは、その人によるんでしょうね」。
――香琳みたいに、好きな人と一緒なら、貧乏暮らしも乗り越えられると思いますか?
「はい。大事なのはお金じゃないんだと、『みせコド』で思いました。愛があれば何でもできる。あんなボロボロのおうちでも、きれいに掃除して、かわいくして楽しめそうです」。
――祐奈さんは掃除や料理は?
「します。掃除機の使い方はわかるし、自分の着ている服を吸い込んだりはしません(笑)。世間の常識的なことはちょっとはできるかな。料理も好きで、いつも適当に作ってますけど(笑)、失敗は特にしないです」。
――いい奥さんになれそうですね。香琳は「無駄づかいは良くないもの」とまで言うようになりました。
「お金を使うのにどこが限度なのか、香琳は全然わかってない子で、そこを尚先輩に教えられたんですよね。『無駄づかいは良くない』と人に言いながら、中身は理解できてないけど、尚先輩に言われたら、すぐ吸収する。そういうところは本当に純粋でいいなと思いました」。
――祐奈さんも節約のために心掛けていることはありますか?
「些細なことですけど、トイレの便座は閉めます。あれ、フタをするとエコなんですよ。閉めている間は電気代がかからないので。あとは、スーパーの袋はたたんで取っておいて使ったり、いろいろ細かいことをやっています」。
――祐奈さんは香琳みたいに好きだった絵本はありました?
「幼稚園の頃、『ぐりとぐら』を近所のご夫婦に毎回いただいて読んでました。内容は覚えてませんけど、何か動物の兄弟のお話でしたね」。
――「みせコド」では、他に印象的だったシーンはありますか?
「りんりん(海老名五十鈴=知念侑李)と社交ダンスを踊るシーンはすごく頑張りました。バレエとジャズダンスはやったことがあるんですけど、社交ダンスは経験なくて。ステップが難しかったから、練習では自分のドレスや知念さんの足を踏んじゃったりして、苦労しながらやりました」。
――公開されるのはクリスマスシーズンになります。
「街がキラキラしていて、テンションが上がりますね。クリスマスはいつも家族でパーティーをしています。プレゼント交換をしたり、チキンを食べたり……。今年はツリーを買いました。家に届いて、もう飾っています」。
――なぜ今年になって買ったんですか?
「何か母と『クリスマスツリーを置いてみる?』『ああ、いいね』という話になって、注文しました。いつもお部屋の飾り付けはするんですけど。あと今年は『みせコド』をたくさんの方にお届けしたいので、宣伝を頑張ろうと思います(笑)」。
――11月には未成年最後の年に入りました。
「あっという間ですね。10歳で『やっと2ケタになった』と喜んでいたら、もうこんなに経っていました」。
――えっ? よく「20歳になってからは早い」と言いますが、10代もそんなに早く過ぎましたか(笑)。
「そうなんです。だから20歳にもなりたいけど、まだ10代のままでいいかなと思ったりもします。とりあえず20歳になるまでに趣味を増やしたいです。最近ハマっているのは、ぬりえや手芸です」。
――20歳に向けて、趣味がぬりえ(笑)? “大人のぬりえ”みたいなのですか?
「いえ、ずっと『きいちのぬりえ』が好きです。きいちという女の子の絵で、和な感じです。あと、パンをイチから作れるようになりたいです」。
――「コドモじゃない」という部分は増えてきました?
「何でも1人でできるようになりました。母が実家に帰っているときに、洗濯とか掃除とか『自分でやろう』という意識が芽生えてきて、トイレ掃除もやってます。1人でどこにでも行けるようにもなりました」。
――やっぱりしっかりしてますね。
「でも、戸締りがちょっと危ないんです。家のカギを開けて刺したまま、入っていたりするんですよ(笑)。母が帰ってくるまで気づかなくて、『ちょっと! 危ないわよ!』と怒られました」。
――確かに、それは危ない(笑)。
「気をつけます。でも、ちょっとずつ20歳への階段を上がれているかな、という感じです」。
平祐奈(たいら・ゆうな)
生年月日:1998年11月12日(19歳)
出身地:兵庫県
血液型:O型
【CHECK IT】
2011年に映画「奇跡」で女優デビュー。これまでの主な出演作は映画「案山子とラケット~亜季と珠子の夏休み~」、「青空エール」、ドラマ「JKは雪女」(MBS・TBS系)「立花登青春手控え」(NHK BSプレミアム)など。2017年には主演した「ReLIFE リライフ」を始め「きょうのキラ君」、「サクラダリセット 前篇/後篇」、「暗黒女子」など8本の映画が公開。「未成年だけどコドモじゃない」は12月23日(土)より全国東宝系にて公開。「Rの法則」(NHK Eテレ/月~木曜18:55~)に出演中。ABCマート「new balance 996」篇のCMがオンエア中。2018年3月31日(土)公開の映画「honey」に出演。
詳しい情報は公式HP
「未成年だけどコドモじゃない」
詳しい情報は公式HP
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